機動戦士ガンダムのキャラクターをmbtiで考える ⑤

今回でホワイトベース隊の考察は一旦終わらせる。

 

ブライト・ノア...ESTJ

E...おおよそ内向的なタイプではない。ホワイトベースの艦長として皆を引っ張っていく。

S...ニュータイプへの理解はあるが現実的な思考の持主。ZZでのエマリーとのやり取りを見る限りはNの要素は少ない。

T...思慮分別がきちんとつく。確かにアムロに向かって怒るがそれは計算や意図があってのこと。いきなり感情に身を任せた行動は皆無。

J...おおよそ任務には忠実。ただ上官や組織に抗う姿勢もよく見られる。それはあくまで自分自分の艦長として、軍人として使命をはたすため、ということから利己的な要素とは言い難い。

 

総評...改めて見直すと、昭和親父キャラにも見える。命令に忠実だが反骨精神があり、強靭なメンタルを持っている。最初は堅物だったのだが、アムロを始めとするニュータイプの出会いによって連邦軍の在りかたについて、革新的な考えを持つようになり、連邦軍の中で異質な存在になった。異端児を理解していたら自分も異端児になっていたということか。嫁のミライはISFJなので夫婦間の相性はそれなり。

 

リュウ・ホセイ...ESFJ

E...とても面倒見がよく初期のハヤトを始め、不馴れなクルーを元気付けた。艦長の重圧で余裕のないブライトの相談所役にもなっていた。

S...モビルスーツの操縦はそつなくこなせる。富野キャラにありがちな、皮肉っぽいこともあんまり言わない、まっすぐなキャラター。

F...明るく温厚な性格で、素人ばかりのホワイトベースをよくまとめていた。アムロとブライトが衝突したとき、ブライトにもっと話すよう助言出来る唯一の人物だ。

J...ブライト同様正規の軍人であることから軽率な行動はしない。与えられた任務を文句言わずにこなす。命令をハモンに特攻したのも弟分であるアムロを助けるという使命の為。

 

総評...頼れる兄貴。初期のホワイトベースを支えた功労者である。ハモンのマゼラトップに特攻し、戦死した時はクルーの皆が涙した。アニメ版ではハヤトやアムロが「リュウが死んだのは自分のせいだ」と自責にかられるのも、人望の厚さがよく分かる。

 

 

スレッガー・ロウ...ESTP

E...打ち解けやすい性格で、宇宙に上がってすぐにクルーに溶け込んだ。一方で階級が同じとはいえ、ブライトに口出ししたり、命令を無視したりと非常に我が強い面も見られる。

S...ベテラン故か、現実的な考えを持ってる。明るく剽軽な性格はいつ仲間の為に死んでもいいからという考えの現れらしい。ビグザムに特攻する時に放った「悲しいけど、これ戦争なのよね」という言葉こそが現実を語っている。

T...感情的になって暴れだすシーンはないものの、カムランの行動に見向きもしないミライトを叩いて叱りつけたり、お茶目っぷりがあることから感情がないわけではない。

P...単独行動のおおさ、ミライを落としにかかる思い切りのよさ、身分の違うカムランを叱りつける点、ビグザムを倒すために特攻を敢行する柔軟さはPっぽさがある。

 

総評...一見軽薄なタイプに見えるのだが、本質はハードボイルで人間味の強い人物。ホワイトベースのどのクルーよりも軍人意識が強く、自分=戦いの駒にすぎないというシビアな考えが根底にあったと思われる。

 

機動戦士ガンダムのキャラクターをMBTIで考える4

今回はホワイトベースクルーの女性陣をご紹介。

 

 

セイラ、マス...INFJ

I...微妙なところだが、作中ではブライトやアムロ等信用における人物以外には自分の本意を話さない傾向がある。

N...ニュータイプのN。戦争の中で兄を探して復讐をやめさせるという考えはのはやや理想主義か。戦後、投資で富を築き上げたという能力もNの能力っぽさがある。

F...あまりT的な部分が少なく、冷静さに欠けるシーンが多いためFとした。

J...無断出撃をした事はあるが一度だけ。肉親であっても間違えを正す(=規律的)為に殺すことを止めない辺りはJっぽいか。基本的には職務に忠実である。

総評...セイラの信念の強さや、度胸の強さを反映した形となった。INTJやINFPでも違和感はないがセイラさんのイメージ的にはINFJがあうと思う。

 

ミライ・ヤシマ...ISFJ

 

I...人見知りせず、面倒見がとてもよい。ただ、ぐいぐい回りを引っ張っていくわけではないのでIと判断した。

S...Sの要素はかなり人に気を使えるし、堅実に仕事ができる。ただ、臨機応変に物事に対応できる(艦長代理)、ニュータイプの素養があるあたりはNっぽい。

F...メンタル面は全く問題ないが、人によく気遣えるということでF

J...信念の強さ。流されない所からJ。カムランに対して頑固な部分もあった。

 

総評...理想的なお母さんタイプのISFJとなった。ブライトが指揮官的なESTJとすると、それを補佐するisfjという立ち回りがしっくりくるか。

 

フラウ ボウ...ESFJ

E...外向型。アムロの世話を焼いたりハヤトに発破をかけることができる。その反面自分はこうしたいというのはあんまりない。脱走したときも、アムロが気がかりだったという理由から。

S...割りと地に足を着けた考え、振る舞いをする。ソロモン戦でハヤトが涙ながらにアムロはのコンプレックスを口にしたとき、フラウは「アムロは私達とは違う」と諭した。

F...感情的というか、女性的なタイプ。人の為に泣くし、怒るし、喜ぶイメージ。クルーになる前からアムロの事を何かと気をかけていたり、子供の面倒見がよいなど、とてもお節介な性格。

J...アムロが脱走したときに勝手に捜索にでかけてしまい、ジオン兵に捕まってしまうが、それ以外は特に規律をみだす行動はなかった。

総評...お節介なお母さんタイプなESFJ。もう少し年齢を重ねていればクルーにはモテモテだったかもしれない。夫のハヤトとはESFJと同じだが、あちらはやや内向的(I)で思考型(T)なので家庭内ではハヤト厳しくし、フラウが優しくすると役割が分かれてそう。

 

機動戦士ガンダムのキャラクターでMBTIを考える③カイ ハヤト

今回の記事ではホワイトベースクルーであるカイとハヤトを取り扱う。どちらもアムロの後方支援的なキャラクターだが、結果としては真逆になったことはとても興味深い。

 

カイ...INFP(ヒーラー)

 

 

I...軽口を叩くことは多いが、クルーの輪に入りきれず、どこか天の邪鬼のような気質があるためIと考える。周りに合わせるタイプではない。
N...悩ましい部分である。キーポイントはカイの持つ洞察力や言葉回しだろう。「人間は逆立ちしたって神様にはなれない。」「臆病なくらいがちょうどいい」といった発言は現実的でSっぽさがある。一方で比喩表現を好み、洞察力に優れる部分も大きい。ミハルがスパイと見抜いたのはNの要素だと言える。戦後ジャーナリストになったことを考えるとNよりか。

F...Tとしてはやや甘い印象がある。初出撃のとき、敵を目の前に怯えたり、ミハルを情で逃がしてしまったりと、感情的になってしまう場面が見受けられる。
P...途中でホワイトベースを抜けようとしたり、戦後ジャーナリストに転向してることを考えるとPの要素が大分強いと言える。

総括...ISFPかINFPかでかなり迷う。カイの性格の特徴である皮肉屋をどうみるかが焦点になりそう。カイの皮肉は要するに「戦時中であっても命は大事なはずなのに、皆その感覚がマヒしているのはおかしい」現状に対抗する意思の表れである。そう考えると現実思考のISFPではなくINFPと考えるのが適当か。戦後、外交的な要素(E)を獲得しENFP(広報運動家)としてジャーナリストの道を進んだのも筋が通る。

 

 

ハヤト・コバヤシ…ESFJ(領事官)

 

E…内向的タイプと迷ったが、一年戦争後にカラバの指揮官をやっているところ、その中でのカツへの鉄拳制裁、強気の指揮などは一年戦争当時の上官であるブライトを思わせる。また、ハヤトを語るに欠かせない「アムロコンプレックス」も考えると他人本位な考えのため、外交的要素(E)と判断した。アムロやカイなども

…迷う要素がほとんどない。ニュータイプの素養もなく、堅実に仕事をこなすタイプ。一時脱走を試みたことがあるが、後に深く反省をしているところからも現実主義な部分がうかがえる。柔道有段者というのもポイント。

アムロに勝ちたいというコンプレックスからFと考えた。フラウと結婚した後、三人の子供を養子にとるなど、面倒見の良い部分が見受けられる。カミーユジュドーといった後の世代の主人公にもある程度やさしい。

職業軍人であるとこからJと判断した。迂闊な行動は避け、守り任務を実行できる。ルールには忠実。

総括…視聴者目線のキャラクターということで、日本人に多いESFJという結果になった。尤も一年戦争だけのハヤトを見るとISFJでもいいと思うが、Zガンダム以降、指揮官の才能に開花するためESFJとした。

機動戦士ガンダムのキャラクターをmbtiで考えてみた② シャア

今回はアムロ最大のライバルでもあり、本作品のラスボス?でもあるシャアについて考察する。ガンダムシリーズでも屈指の人気を持つシャアだが、その実態は複雑怪奇で判断に困る要素が多かった。

 

シャア・アズナブル INTJ...建築家


I...非常に悩ましいが、心を許せる人が非常に限られていること、スタンドプレーが多いこと、ザビ家の復讐という目的を個人的に果たしていたことがIの要素。だが、Eの要素も多く、部隊の指揮ができる、カリスマ性、総帥を務める辺りはEらしい。行動力もかなりある。
N...ザビ家への復讐、ニュータイプが導く世界を作りあげたい。それを阻害する人々への粛清など理想を唱えるためNの要素が強い。ニュータイプのなりそこないとシロッコに罵倒されていたが、素養がないだけでニュータイプとしての考えはもっていたように思える。
T...情があるタイプではない。部下が死んでも感情をほとんど動かさない。ララァが死んだときだけは泣いた。Fっぽい要素としては、逆襲のシャアアムロとの決闘に固執し建前と目的をはき違えていたことか。
J...立場をコロコロ変えるのでPっぽさはあるが、職業軍人なので基本的には規律を守る。又、作戦を忠実に実行することが多く、想定外の事態に動揺する場面が多い。ララァが死んでから、何かある度にララァのことに固執するなど柔軟性が見られない

総評...ENTJかINTJでかなり迷う。
ENTJにしては人の扱い方がてんでダメで、ギュネイやカミーユのような反骨精神が強い部下をコントロール出来ていない。人に真意を打ち明けないが多く、総帥になったときも「あこぎなことをやっている」と嫌がっている。ENTJの場合心理機能がNe-Ti-Se-Fiとニュータイプが人類を導くべき、そのために自分は戦っているというシャアの行動理念にはがっちり合うが...同じニュータイプであるアムロ固執するなど、実際の行動があまり伴っていない。

INTJにしては行動力が非常高く、一般的な思慮分別があり、仲間や部下からの信頼が厚い。カイには「指導者になるべきなのに逃げてるシャアは卑怯だ」と言われる程、カリスマ性があり、ネオジオン結成時には多くの者がシャアに集った。だが、前述のとおり、彼の真意を知る人は非常に少なく、シャアのことを良く知っているのはララァアムロぐらいである。したがって、自分の理念をオープンにして他人を巻き込み引っ張っていくというENTJ像には当てはまらないため、INTJが妥当と考える。

 

 

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機動戦士ガンダムのキャラクターをmbtiで考えてみる① アムロ

 

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mbtiとは、世界で最も使われている性格検査である。人間の性格はおおよそ16タイプに分別され心理的な心の動きがわかるというものである。

アニメ、漫画のキャラクターをカテゴライズする遊びがある。

今回は機動戦士ガンダムのキャラクターのmbtiを考えてみる。

 

 

アムロ・レイ…ISTP(技能者)

まずmbtiの要素についての考え方だが、4文字のアルファベットで心理的機能を表す。4文字のアルファベットはそれぞれ

I(内向型)or E(外向型)

S(現実的)or N (直観的)

T(思考的) or F(感情的)

J (判断的態度) or P (知覚的態度)

となっており、それぞれよりどちらに近いでタイプを決定する。

まず、IかEかについては、アムロの場合、おおむねIと考えてよいと思う。内向型タイプの傾向として、自分の内側にエネルギーを使う傾向があり、内向的だったり、自らを顧みることが多い。

アムロが内向的であると考えた理由としては、元々機械いじりが大好きで部屋に閉じこもっていたこと、出撃命令が下されているのにも戦いたくないといって自室から閉じこもっていたこと、自分が抱えている問題(兵士として戦うことへの葛藤、ランバ・ラルやシャアのような敵との出会い、ニュータイプのありかたなど)を他人に相談する描写がなく、自分自身で結論をだしているように見える。

 

次にSとNについてだが、ややS寄りと考える。Sの要素としては、自身がニュータイプであることについては、「ただの兵器や組織の一員に過ぎない」と考えており、かなり現実的な思考である。また、機械いじりやモビルスーツの操縦、フェンシングなどが非常に上手く、実践的な能力である。ただし、ニュータイプとして開花するにつれ、人離れした先読みだったり、死者とコミュニケーションをとったりするなど直観的(N)な要素も少なからずある。しかし、抽象的な思想を語る場面はほぼなく、現実の、目の前の問題に対処するという態度のためSと判断した。

続いて、TとFについてだが、ほぼTで間違いない。サイド7で2機のザクを撃破できたのは感情的な考えではなく、自分がこの場なんとかしなければならないという思考のもと実行した。アムロ自身決して無機質なタイプではなく、仲間の死には激高したり、号泣したりするが、生死が関わる場面ではスイッチが入り、割り切りができている。母の前でジオン兵に拳銃を発砲したり、ランバ・ラルやシャアなど顔見知りを殺しにかかったり、そもそも15の少年が兵器で敵のモビルスーツを撃墜しまくっている時点で感情が判断に入る要素はかなり薄いと思われるのでTとした。

 

最後にPかJだが、Pの要素がかなり強いといえる。この項目は外界に対する要素が判断(T or F)か知覚(N or S)によるものなのだが、アムロの場合、確かに任務を適切に遂行し、一兵隊として責務を全うする部分はあるが、一年戦争序盤では、出撃したくないと駄々をこねたり、勝手にガンダムを持ち出したりするなど規則を逸脱した行為がみられる。それからは逸脱した行為は少ないものの、最終決戦ではジオング追跡のために単独行動をとるなど、重要な場面では突発的な行動がみられる。さらに「逆襲のシャア」では、アクシズが地球圏に落下する際に、「たかが石ころ一つ、ガンダムで押し出してやる!」と無謀にもガンダムで巨大隕石に突っ込む姿は明らかに知覚的で柔軟な対応である。よってPと考える。

 

結論としてISTPとなった。このタイプは、他のガンダム作品の主人公ではヒイロ・ユイガンダムW)、刹那・F・セイエイ(ガンダム00)が挙げられ寡黙で必殺仕事人であり、無表情無感情である。物語が進むにつれて人らしい感情を取得し、人格的に成長し人々を導く存在になっていくのがガンダム的ISTPである。

アムロの場合、初期からある程度は社交的であるし、少年らしい純朴な部分があり必殺仕事人というイメージは薄い。しかし、物語が進むにつれ、戦闘能力の成長やメンタルの安定から仕事人的な要素が垣間見えるようになる。また、終盤にはニュータイプに覚醒するのだが、ホワイトベースのクルーをランチに導く以外はN的な要素がほぼみられない。一年戦争終了後、アムロ自身がニュータイプとして人々にふるまう場面はほとんどなく、むしろ仕事人として振る舞うようになる。特に逆襲のシャアでは、シャアの計画を止め、殺すことになんの躊躇も抱いていなかった。尤も、連邦軍としても扇動的なニュータイプの存在は恐れており、そういった組織の意向に合わせて生きられるのもISTPの特徴とも考えられる。

 実際、後の世ではアムロは「革新的なニュータイプ」というよりかは「最強のニュータイプパイロット」として語り継がれることになり、ニュータイプとしては、かなり不遇で悲しい人物とも思える。

カミーユという男

僕の好きなキャラクターに、カミーユ・ビタンという男がいる。

なぜ好きか言うと、精神崩壊を起こし、バットエンドを迎えるからだ。

この記事では、カミーユがなぜ精神崩壊したのか、そこになぜ魅力を感じるのか綴っていきたい。

 

カミーユは「キレる若者」

 

カミーユは仕事のことしか考えず不倫ばっかりしてる父親とそれを知らん降りする母親のもとに生まれた。

こどもの頃、親の家庭環境がどうしようもないと、こどもは必ずグレる。こどもにとっての世の中=社会なので、親に不満があれば、世の中全てに不満を持ち、攻撃的になる。

 

「大人が大人をしてない」

 

この作品を象徴するキーワードである。

これがカミーユを悲惨な結末に導くのである。カミーユを象徴する言葉として、「コンプレックス」がある。彼は自分が女に見られることが大嫌いだったのだ。

カミーユという中性的な名前で、薫とか勝美等に当たるようだ。彼自身のルックスもかなり女性的なので、オカマなどといじられていたに違いない。

だからこそ、カミーユは柔道とか機械いじりとかホモアビス(タケコプターみたいなやつ、生身で空が飛べる)に熱中していた。バカにされればすぐに喧嘩するし、権力を振りかざす大人は大嫌いだ。

世の中への不信感と強烈な劣等感、

カミーユとても感情的で繊細な性格で「キレる若者」である。

 

純粋すぎるが故の悲劇

 

カミーユガンダム史上最高のニュータイプと評価されている。ニュータイプとは、「ちょっとしたエスパーのようなもの」と作中言われるように、直感的、感覚的な洞察力が優れ、物事の本質が見極められる存在であると考えられる。(ニュータイプの定義は錯綜しているが)

彼が強力なニュータイプ能力をなぜ身に付けられたのか、それは彼自身がとても純粋で人や物事の本質を分かっていたからだと思う。カミーユは戦争の中で何が大切で何が悪いことか感覚的に理解していた。大人になりきれないシャアを殴ったり、シロッコを「生きていてはいけないやつ」と叫ぶことができる。反対に、フォウやロザミアなどの強化人間にはわかりあおうとして、接触を試みている。

 

ただ、この作品は大人になりきれない大人が大半である。互いのエゴを押し付けあい、カミーユをはじめとするこどものことは放置。それでいて何かを改めることもない。

カミーユの激情はそうした自分勝手な大人には届かず、望んだ通り結果は得られない。逆に周りはエゥーゴのクルーはどんどんカミーユに依存していく、カミーユなら出来る、変えられると。そうしてカミーユは元々繊細な精神を蝕まれ、疲弊していく。

 

最終的には、死者の意思を取り込み、シロッコに特攻をかける。シロッコは倒したものの、彼の怨念によってカミーユの精神は連れ去られ、崩壊してしまった。

 

悲劇こそ美しい

 

機動戦士zガンダム」という作品は悲劇である。

僕はこの作品が大好きで、何度も視聴している。カミーユが崩壊するシーンはそれこそ、脳裏に焼き付くほどみた。

ハッピーエンドの方がきっと心が明るくなるはず。にも関わらず、なぜ好きなのか。それは悲劇こそリアルだからだと思う。

人間は元々ネガティブな感情を持っている生き物だ。ネガティブだからこそ、 問題を表面化し解決、発展してきた一面もある。

明日食べるものが維持出来ないのではないかという不安から、稲作が生まれ、敵に奪われるのではないか、という懸念から軍隊が生まれた。

故にネガティブは否定されるべきものではない。が、行きすぎた後ろ向き思考は、脳を萎縮させ、自殺を最終的な結論にしてしまう。だから人々はポジティブに生きようとし、そのツールとして、ハッピーエンドの作品が迎合される。

にも関わらず、人々はバッドエンドに惹かれてしまう。なぜなら、内在的に我々はハッピーエンドが絵空事だと分かっているからだ。現実は時として非情だ。リアルを感じたいという欲求があるから、zガンダムはいまだに愛される作品なのだと思う。