あれらの一生1

「あれら」の一生。それは「あれら」であり、もしかしたら「君ら」でもあり、「僕ら」でもある。

 

「あれら」は1993年に埼玉の田舎で生れた。4つ上の兄がおり、次男である。この3年後に妹が生まれるのだが、それは又別の機会に。

 

「あれら」は産声をあげるや否や、すぐに集中治療室に運ばれた。生まれつき体が小さく、呼吸器系の障害を抱えていたのだ。

 

なんとか一命をとりとめたものの、病弱なのは変わらず、幼少期は病院で暮らした。

 

「あれら」の母親はとても「あれら」を心配した。彼女は小さいとき、母親と姉を呼吸器系の病気で亡くしている。「あれら」が辛い咳をする度、そのことが頭によぎる。

 

「あれら」の父は平凡なサラリーマンだった。裕福な家に育ち、いわゆる「ぼっちゃん」だった。